源泉所得税とはどのような税金か

従業員や専従者の所得税は事業主が預り、事業主が税務署に納付する仕組みの税金です。

会社や事業主が従業員や専従者の給与を支払う際に、彼らの所得税を、給与から天引きし、いったん預かった上で、従業員に代わって、まとめて支払う 仕組みのことを「源泉徴収」といいます。

この源泉徴収という手続きは、事業主の義務として定められているため、これを怠ると罰金もあります。従業員から「税金は自分で払うから源泉税を天引きしないでくれ」と頼まれて、事業主が応じてしまうと、会社は源泉徴収義務違反とされ、加算税や延滞金かかる場合があります。

源泉徴収の手順

(1)「給与支払事務所等の開設届出書」の提出
まず、会社が従業員に対し給料の支払いを開始する前に、この届出書を税務署に提出しておかなければなりません。
 
(2)扶養控除等申告書の備え付け
従業員の方に扶養親族の状況等を記載した「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出してもらい、会社内に保存します。(平成28年からはマイナンバーが必要になります。)源泉徴収の税額は、給与の金額と、扶養人数によって計算されます。

(3)源泉所得税の徴収
実際の給与支給の際には源泉所得税額を天引きしますが、その税額は、「給与所得者の源泉徴収税額表」という早見表により預かることとなります。

(4)源泉所得税の納付
預かった源泉所得税は、原則「その給与等を支払った月の翌月10日まで」に、会社が全従業員の分をまとめて納付することになっています。この納付は、所定の納付書を使って、管轄税務署又は最寄の金融機関等から行います。
源泉所得税については、うっかり納付を忘れてしまうと、罰金を払わされる場合がありますので、十分な注意してください。

源泉所得税の納期の特例

源泉徴収の対象となる給与所得者が10名未満の小さな会社に限っては、事務負担を簡略化するために、「半年に一度まとめて」納付することができ、これを「納期の特例」といいます。

この「納期の特例」を利用すれば、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税は翌年1月20日(納期限の特例が無い場合は1月10日)と、年2回の納付で済ませることができます。

この特例を受けたい場合には、その月の前月までに「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を作成し、税務署に提出して下さい。

年末調整とは

従業員や専従者の毎月の徴収税額は、あくまでも概算で納めている形です。 
1年間の正しい所得税額を計算し直して、正確な税金を払わせなければなりません。この税額確定の計算を「年末調整」と呼んでいます。

つまり、12月分の給与を支払う段階で、その人の1年間の給与所得は確定しますので、そこで、正確な税金計算を行い、毎月の源泉徴収による概算納税額との差額を調整しなければならないのです。

概算源泉徴収額の方が正確な所得税額よりも少なければ、12月分の給与から、その不足分を追加的に徴収しますし、もしも、概算源泉徴収額の方が多かった場合には、12月の給与と合わせて返金しなければなりません。

給料以外に、不動産の賃貸収入や、株の売買で所得がある方は、年末調整をしてもらった後でも、確定申告をしなければなりません。  また、医療費の所得控除のように、年末調整で調整しきれない項目もあり、そういった調整が必要な人も、年末調整後に、通常の確定申告が必要になります。